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沈金象嵌箱「深山(みやま)」

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正面
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裏側
20代の頃は取り付かれたように山登りに明け暮れていました。そこで目にした数々の光景は今でも脳裏に焼きついていますが、中でも逆光に輝き透ける木々の葉は原風景として強烈に印象に残っています。
輪島漆芸技術研修所の生徒だった頃から何とかこれを沈金で表現したいと何度も挑んでは返り討ちにあってきました。この作品でも性懲りもなくこの「葉っぱ」に挑んでしまいました。どうやら一生の付き合いになりそうな気がしています。
主役はセンダイムシクイで鳴き声が「焼酎一杯グイー」と聞こえる、とても親近感のわく鳥です。山登りの途中、森の木漏れ日の中突然目の前に出くわした時の驚きと感動を思い出しながら作りました。

沈金パネル「羽風」

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ヒドリガモという結構よく目にするカモです。本当は胸や背中に無数の細かい波模様の線があるのですがゴチャゴチャになりそうななので省略しています。
まだ福岡にいた頃、鳥に興味を持ち始めた時に丁度近所の池に頭が赤くて額にクリーム色のスジが入ったカモを見かけました。羽繕いか何かを終えて羽根を伸ばし、水面でそのまま水切りをする様に羽ばたいた姿は普段の丸っこい可愛らしい印象と違い、シャープで優雅でハッとさせられました。閉じていた時には見られない根元の羽根(次列風切?)のエメラルドグリーンの光沢も大変美しい物でした。
羽ばたく躍動感と時が止まった様な静謐な世界を同時に表現できたらと思いながら制作しました。初めて挑戦したカモ類で水面の表現とともに課題もありますが、それも含めて彫っていて楽しい、有意義な作品でした。

沈金象嵌箱「忍音(しのびね)」

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忍音とはその年の時鳥(ほととぎす)の初鳴きのことです。が、作中に時鳥そのものの姿はなく、替わりに空木(うつぎ)の花、いわゆる卯の花を沈金で埋め尽くしました。この花は例えば「竹に雀」の様に昔から時鳥とセットの題材として取り上げられて来ました。
自宅の徹夜仕事でそろそろ夜が開けようかと言う頃、薄明をついて響いてくる時鳥の声は寝不足の頭には一層、深く遠いあの世とも言うような世界から語りかけて来るように聞こえてきます。(そんな感じの民話も多いです。)
写真では少し分かりづらいかもしれませんが側面は一旦、全面掘り尽くした後に緑の色漆と黒漆でぼかしながら塗りこんで平滑に研いで磨いてあります。あのなんとも言えぬ神秘的な初夏の夜明けを表現したいと思いました。
 一見すると地味で在りがちな作品にも見えるかも知れませんが自分にとっては代表作と言いたいくらい思い入れの深い作品です。

●沈金パネル「緑陰」

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とにかく鳥が好きなのです
白山の森で出会ったオオルリです。彫り方以外でも金粉や顔料の使い方を工夫して、木漏れ日のきらめく様子を表現できないかと思い制作しました。バックの木の葉は点彫りといって点描のように1ずつ点を彫って行く地道な作業ですが、これも沈金特有の透明感を生かすのに有効な方法です。

●沈金パネル「水恋鳥」

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水恋鳥はアカショウビンの別名です
アカショウビンと言うカワセミの仲間の真っ赤な鳥です。かわいらしくも凛々しい姿と「ヒョロロローーン」と言う鳴き声がどこか深い世界に誘われるようで大好きな鳥の一つです。
 羽毛の1本1本を彫って描きました。写真ではわかりにくいですが彫る方向によって彫り跡の光り方が変わり、それが沈金独特の立体感となっています。
 赤い色は朱の顔料の粉と金粉を併用したものです。

●沈金について

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沈金名刺入れ「結び葉」
漆器に沈金で絵を描いています。
沈金とは筆などで「書く」のではなく乾いた漆の上を刃物で彫って描いて行く技法です。そこに漆を薄く摺り込み、すぐにティッシュでふき取とり、金粉などを蒔くと彫った通りに模様が浮かび上がって来ます。